ひとりデータ班のクローゼット

東京六大学野球近年のデータを中心に感じたことを書いていきます。

2度目の春休みと作品たち①イノセント・デイズ

お久しぶりです。

野球のない時間が長すぎて野球の話をする気も起きません。

自分が野球のない晩秋から春分まで普段やっていることを続けるのも飽きたので、動画のサブスクサイトに登録してドラマを見ることにしました。

ついでにアウトプットもしていこう思います。

そこそこネタバレはします。

1.イノセント・デイズ

原作 早見和真/2014

ドラマ wowow/2018

50分 × 6話

世間を騒がせる「整形シンデレラ放火殺人」。

その犯人として逮捕され死刑囚となった田中幸乃に、関わってきたさまざまな人々の目線から迫るミステリーです。

元々文庫で読んでいた作品でした。「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました」なんて大袈裟な帯に惹かれたわけではないですよ。

ただ想像以上に重い話で、人の心の闇があらわれた作品だなと思っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↓少し物語にふれます

 

この作品がドラマになると、視点が変わるので少し印象は変わります。展開がわかりやすくなったと同時に、小説からは捉えきれていなかったもう一つのテーマが見えて、登場人物により人間味が増した気がしています。

映像化で唯一残念?なのは原作の1つのテーマがほとんど感じられずに終わったことです。

そのテーマがこの時期だけに大切にしたいことですし、この物語に興味のある人は小説で読むことをお勧めします。

「何も知らないくせに。自分勝手に決めつけて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↓ネタバレオンパレード

ドラマによって語り手が幸乃と慎一の2点にほぼ絞られたことで「現在」の流れがわかりやすくなりました。 そして事件後の章で明かされる慎一の懺悔がより効果的になったと思います。

また、ドラマでは祖母美智子と元結婚相手敬介の描写が増えていました。この二人は小説ではほぼ悪人として描かれフォローはありませんでした。しかしドラマでは美智子が心から幸乃を必要としていたこと、敬介が幸乃に後悔の念を持っていたことが描かれました。

これで人間味が増した登場人物によって、私たち全員が「田中幸乃に関わった人間たち」になり得るのではないか、と思いました。

ふとした悪意が想定以上に誰かを傷つけること、良心による後悔で人は縛られ続けること

その罪と罰がこのドラマではより濃く描かれていると思いました。

それを問いかけられているような執行直後の瞳のまなざしは厳しく刺されるものでした。

 

もう一つ、この物語を語るのに欠かせない「ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか」

これも映像化によってハッピーエンドであると限りなく示唆されたことも重要です。

幸乃は「もし本当に私を必要としてくれる人がいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのが恐いんです」という台詞からバッドエンドと捉えるのが簡単です。しかし、多くの人に想われていることに気づき希望を持ったのではないでしょうか。絶望の中で最後に希望を持ったまま人生を終えたのではあれば「ハッピーエンド」だと思います。