ひとりデータ班のクローゼット

東京六大学野球近年のデータを中心に感じたことを書いていきます。

2019年春シーズン展望

お久しぶりです。おかげさまで大変忙しく非常に面白みのない日々を送っています。願わくば早慶戦までに決着をつけたいところです。


そんなこんなで明日開幕ですか。早いですね。

正直順位予想はもうしましたし、ほとんど変えるつもりもないです。が、より詳細な展望は見えてきました。

 

その根拠として六大学HPで「登録部員の発表」がありました。シーズン直前に各大学の部員一覧が更新されるのです。
ここからわかる情報は大きく3つ。
①新入部員の情報
②選手のポジションの変更
③一部選手の背番号発表


個人的には③が得られる情報として大きいですね。
①に関しては、有力選手の進路は既に発表されているのでもう新鮮な情報ではないです。ただ、早慶については内部の誰が入部したかしなかったかわかる、という点では価値のある情報もあります。
②に関しては基本ないので。東大がコンバートしてびっくりするくらい。


③は得られる情報の裏に多くのモノが見え隠れしてきます。特に現時点での期待値が見られるものですが、その根拠として
❶背番号が変わって「出世」したか
❷新しく背番号を得る選手は誰か
の2つに大きく分けられます。
ちなみに
❸本来いるべき選手がいない
というのもあります。昨秋でいえば早大の徳山や慶大の佐藤といったあたり(用はケガでの全休を指す)。ただ法大の石川みたいに、蓋を開けてみたらしれっと主力ということもあるので、まだわからないですね。


社会人対抗戦もありましたので、そこでの選手起用、ベンチ入りメンバーも考慮しつつ、今回は③の部分にフォーカスして各大学の戦力分析をしていきましょう。


まずは東大。彼らはだいぶ前に背番号自体は発表されていました。

赤が新戦力、青は背番号が昇進していることを表します。

背番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 12 13 15 17 18 19 20 23 25 27 33 34 36 38 46 47 48 49
名前 宮本 大音 青山 笠原 山下朋 新堀 武隈 梅山 辻居 奥野 坂口 野村 小林大 小宗 平山 早川 廣納 石元 水越 井上 柳川 土井 有賀 安田 伊津野 宇佐美堯
元背番号 1 45 33 24 5 6 28 39 27 8 12 ―― 15(春) 17 15(秋) ―― ―― 23 25 ―― 29 ―― 36 38 46 ―― 48 49
前任者 ―― 三鍋 磯野 岩田 ―― ―― 杉本 辻居 山本 宇佐美舜 ―― 有坂 野村・小宗 ―― 川口 ―― ―― ―― 梅山 青山 ―― ―― ―― ―― 藤井 ―― ――


東大は基本的に1から9の背番号の選手がレギュラーとしてそのポジションに就くスタイルが多いです。
❶その中で2番、スタメンキャッチャーは2年の大音。リーグ戦出場は1度のみですが、秋のフレッシュトーナメントでは3試合でスタメンマスクと期待されていた選手です。社会人対抗戦でもスタメンと2年ながら正捕手の予感。成長していけば2年後は手こずることになるかもしれません。
3番は巨体からのパワーが自慢の青山、9番は昨季終盤に台頭した梅山と新戦力もぼちぼちというところでしょうか。
❷注目したいのは4年の坂口。これまでリーグ戦未登板も昨春のフレッシュトーナメントでは先発として好投を見せていました。小林大や宮本ら黄金世代の最後の1ピースとなるでしょうか。野手では3年の早川でしょうか。社会人対抗戦ではセカンドでスタメン。薬学部という所属も目を引きます。
❸社会人対抗戦では主将の辻居と二遊間を担ってきた新堀が欠場。辻居はリーグ戦に間に合うそうですが、新堀に至っては背番号登録されていない状況です。大事でなければいいのですが。
総評
小林大はやはり好不調の差が激しい部分はまだ改善しきれていません。社会人対抗戦では2番手奥野も打ち込まれるなど、投手陣は未だ整備が進んでいないようです。平山柳川、坂口とリーグ戦未経験のメンバーが多い分、化ける可能性もなきにしもあらず…かもしれませんね。そして好調時の小林大も変わらず要警戒です。
打線は意外性の長打力が健在です。三鍋は抜けたものの、辻居や岡、笠原など主力メンバーが残るだけにロースコアゲームにはしたくないところ。ただ、辻居や新堀などのケガ人が万全でないのも確かです。先制攻撃で自分たちのペースに持ち込むことは少し難しいかもしれません。投打ともに不安要素は多く、黄金世代の船出は厳しいものになるかもしれないですね。 


続いて立大。

背番号 1 2 3 4 5 6 7 9 10 11 13 14 15 16 17 18 19 20 22 23 24 25 27 28 29 33
名前 太田英 宮慎 鷲津 敷名 江藤 笠井 中嶋 三井 藤野 小幡 比屋根 林中 中崎 川端健 中川 田中誠 手塚 柴田 竹葉 山田 宮崎仁 村山 佐藤聡 金川 伊藤智
元背番号 36 23 ―― 31 4 13 39 3 27 ―― 22 25 ―― 21 15 18 19 ルーキー 24 ルーキー ルーキー 33 ―― ―― ―― 37
前任者 種田 井上 三井 江藤 吉田 林田 飯迫 ―― 松﨑 江口 笠井 峯本 中川 宮崎 橋本 ―― ―― 寺嶋 比屋根 宮慎 竹葉 林中 藤野 上村 荒井


❶巧打が自慢のプロスペクト、太田が背番号1番になるなど、かなり出世した選手が多い印象です。後半台頭した敷名が4番、守備力が持ち味の宮が2番とほとんどの一桁背番号は新しい選手が付けています。三井も3番から9番に変更になってますね。個人的には中川の背番号が15から17になっているのが気になります。
❷三井から3番を奪ったのがラストシーズンの鷲津。これまでリーグ戦出場はないものの、社会人対抗戦で5番を打ちました。また、中嶋が背番号7を背負い、4番ライトでフル出場と期待値の高さが見えます。
投手では2年の小幡、3年の中崎の立教池袋コンビが新戦力。二人とも社会人対抗戦で1イニング三者凡退とアピールしてみせました。経験豊富な投手が多く、激しい争いの中で生き残れるか。
ルーキーは山田、宮﨑仁の大阪桐蔭最強世代コンビと社会人対抗戦に3番サードで出場した柴田の3人が注目。レギュラー争いが激しい中、もしかしたら開幕スタメンもあるかもしれませんね。
総評
昨季苦しんだ投手陣ではケガの田中誠也、不調の手塚らに復活の兆しが見える上に中崎や小幡など新戦力が加わり層の厚みが増しました。他大学の投手陣もタレントが豊富な中で、見劣りしないまでの戦力になりそうです。
一方打線は藤野、笠井以外レギュラーとしての経験が浅い選手が多いのが不安点です。昨季は後半にかけて小野や伊藤、荒井など新しい選手がスタメン出場していましたが、今季の定着まではいかなかった模様。社会人対抗戦では中嶋や宮慎などがフル出場しましたが、全体的に決め手を欠いているという部分が大きいかもしれません。帰京後のオープン戦でもほとんど結果が出ていないですし、おそらく春の間はメンバーを固定して戦っていくスタイルにはならないと思うので、適材適所にメンバーを配置することができるかどうかがカギになりそうです。
なによりも今年は打線が課題。その中で主将、捕手と重荷を背負う藤野の責任は大きくなるでしょう。その負担を軽減できるだけのチーム力の底上げができるかどうか。簡単な課題ではないだけに、長い目で解決していく必要があると思います。


昨季4位の明大。

背番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 14 16 17 18 20 22 23 24 25 26 27 32 33 37 39
名前 磯村 西野 喜多 清水頌 公家 添田 渡辺涼 丸山 内山 森下暢 伊勢 篠原 鈴木貴 西山 長江 入江 北本 清水風 竹田 藤江 和田 小泉 松下 蓑尾 岡本 陶山 冨田
元背番号 1 22 13 14 43 27 28 39 24 11 17 32 ―― ルーキー 19 29 15 12 23 26 25 16 ―― ルーキー ルーキー 37 ルーキー
前任者 ―― 赤木 平塚 高瀬 森下智 渡辺佳 越智 逢澤 村上 吉田 森下暢 ――  清水頌 小泉 伊勢 髙橋裕 氷見 西野 ―― 内山 ―― 藤江 添田 篠原 釣賀 ―― 梶原

明大も東大同様に1から9番の背番号順にスタメン起用される傾向があります。
❶昨季巧打で準レギュラーの位置にいた内山、添田が共に一桁番号を獲得。今年も厄介な存在になりそうです。また、2番は正捕手の西野が背負います。投手では10番の森下に代わり伊勢が11番を継承。自慢のWエースが並び立ちます。20番ながら副将の北本は社会人対抗戦スタメン出場と、今季は実力派の4年が中心の布陣になりそうです。
❷3番喜多、4番清水頌と2人の4年が社会人対抗戦ではスタメン出場。最終年で花を咲かせられるか。一桁番号では3年の公家が5番、2年の丸山が8番。甲子園を沸かせた選手たちが神宮でついに日の目を見そうです。
新人では蓑尾、岡本、西山、冨田と4人が背番号をゲット。うち岡本と西山が社会人対抗戦でデビューしました。
総評
投手陣はプロ注目の森下、伊勢に昨季ローテーションを守った竹田と先発ローテーション候補は他大学を圧倒的するレベルを誇ります。リリーフエースとして活躍した入江、昨季デビューの中山、米原に今季復帰が予想される磯村など中継ぎにも豊富なスタッフが並び投手陣は盤石と言えるでしょう。何も文句はありません。
一方で打線は4年を中心に実力派が揃いますが、旧4年が長い間スタメンを張っていただけに、実績が乏しいのも事実です。社会人対抗戦でも4安打無得点と結果が出せませんでした。オープン戦で見てみると、東京に帰還以降はほとんどの試合で3失点以内に抑えており、投手陣はまさに問題なしと言えるでしょう。一方で打線は活発とまでは言えません。何より気になるのは引き分けの数。2月中旬以降のAチーム25試合中9試合が引き分けと異常なほど多い数字です。昨年は1点差ゲームで苦しんだように、リーグ戦では勝ち切る力が必要です。この「紙一重」を乗り越えられるか、乗り越えられないか、リーグ戦を前にして大きな問題に直面しているのではないでしょうか。


続いては法大。
なお諸問題には言及しません。
お話になりません

背番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 13 15 16 17 18 19 21 22 23 25 26 27 28 29 31 32 34 36 37
名前 宇草 古山 相馬 佐藤 清水俊 西山 村田 安本 毛利 福田 柏野 高田 新井悠 石川 杉下 内沢 朝山 鈴木昭 宮﨑佑 札葉 宮本 三浦 渡辺 中村迅 舩曳 立花 伊藤寛 杉村 中原 羽根
元背番号 28 22 3 24 25 36 ―― 23 9 6 ―― 13 15 16 ―― ―― 14 ―― ―― 31 ―― 26 20   29 42 ―― 31 ―― 43
前任者 大西千 川口 ―― 吉岡 原田 福田 小林 斎藤卓 ―― 向山 ―― ―― ―― ―― 菅野 ―― 河野太 森田 古山 安本 清水俊 ―― 中村浩 宇草 ―― 札葉・杉村 ―― 永広 西山 中山


❶昨季のリードオフマン宇草は大西の背番号1を継承。内野復帰は失敗したようですが、今年も打線の核になりそうです。背番号2番に古山、27番に渡辺と捕手争いは激化しているようですね。伊藤寛も合わせ、誰が正捕手となるか、特に他チームは絶対的な存在がいるだけに重要な問題になります。
5番清水、6番西山、8番安本など埋もれつつあった4年が花開けば層の厚さも増していきます。
横浜高校の4番を打った村田が7番。強打が武器として一時はスタメン候補にもなっていたようですが、代打待機が濃厚でしょうか。投手では登録こそありませんでしたが、社会人対抗戦では2年の杉下、古屋敷が登板。エース三浦を筆頭に黄金世代と評される2年から新たなピッチャーが加わるのか。
総評
純粋な素材だけで言えばトップでしょう。投手陣ではロングリリーフの菅野の穴が気になる部分ではありますが、鈴木昭や柏野、内沢など多彩なメンバーが控えています。軸となる三浦、高田、石川が崩れなければ問題はないでしょう。
野手に関しては旧4年が長い期間リーグ戦メンバーを張り続けたこともあり、相馬、宇草以外は大学での実績が少ない状態です。特に要である捕手は伊藤または渡辺に絞られているようではありますが、まだ決まってはいないようです。昨春から中村が正捕手を完全に勝ち取ったことが秋の優勝につながった面があると思います。競争の中で高めあうという点で正捕手争いが必要ではありますが、固定することの効果の方が投手にとっては楽ではあるはずなので早めに解決したいところです。
野手のメンバーが大幅に抜けても、もちろん昨年の慶大のように勝てるチームはありますが、慶大にはそれだけの危機感がありました。法大についてはわかりませんが現在進行形で色々とあり、それどころではない危機的状況であるのは確かです。逆に捉えれば、この荒波を乗り越えてこその王者復活。まさにチームとしての真の結束が問われているのではないでしょうか。


5番目は早大

背番号 1 2 3 4 5 6 7 8 10 12 14 16 17 18 19 21 22 23 24 26 27 28 31 35 37 43 44
名前 檜村 金子 吉澤 富田 福岡 小藤 真中 米田 加藤 藤井寛 今西 西垣 柴田 早川 徳山 山田 田口 山野 瀧澤 重田 岩本 長柄 丸山 岡本 蛭間 中川
元背番号 1 36 37 ―― 5 26 44 ―― 7 12 14 20 17 13 19 ―― 46 33 25 28 31 ―― ―― 35 ―― ルーキー ルーキー
前任者 ―― 西岡 黒岩 山岡 ―― 岸本 加藤 池田 小島 ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― 三木 ―― 小太刀 小藤 ―― 重田 岩本 ―― 吉澤   真中

❶道端や細山田らが背負った「正捕手の証」6番が小藤、藤井や和田らが背負った「左のエースの称号」18番が早川。小宮山新監督が主軸として大きな期待を寄せていることがわかります。野手では昨秋サードのレギュラーを奪った金子が2番、投手では昨秋ローテを守った西垣が16番に出世しました。
昨秋はメンバーを外れることが多かった吉澤が3番となったことも新監督なりの期待の表れでしょうか。瀧澤、岩本、真中など特に野手は背番号の入れ替えが目立ちます。
❷野手では4年の米田が8番。バッティングが自慢とのことで田口と合わせて左右代打陣は終盤の切り札になりそうです。ルーキーでは中川、蛭間と優秀な将来野手がベンチ入り。蛭間はやや手薄な外野ということで早々に出番があるかもしれませんね。

総括

大黒柱小島が抜けたもののエースには急成長した早川、第2先発は昨季も務めた西垣、中継ぎにはフレッシュトーナメント決勝で完封勝利の柴田、抑えには復帰した徳山と、今西が遅れてもトップクラスの層の厚さがあります。

野手も加藤、瀧澤、福岡ら長打もある左打者が揃います。右では檜村が上位に、下位にはしぶとい金子が座る形になるでしょう。打線も良い方の区分に入ると思われます。この中ではやはり加藤の出来が気になるところ。ここ3季良い結果が出ていないだけに主将として覚醒できるか、早大打撃陣の歯車が全てを握ります。

そしてキーポイントは小宮山監督の采配。オープン戦では若干貯金があるような形で終了しました。特に投手が大崩れした試合はほとんどない印象です。打撃陣も帰京後は爆発する試合が多く、好調ぶりが見て取れます。公式戦という雰囲気の中、選手を正しく指揮できるかはこれから読み取っていきましょう。

 

最後に慶大。

背番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 22 25 27 29 31 34 37 39 43 45 48 49
名前 柳町 植田将 小原 田中凌 瀬戸西 正木 渡部遼 中村 杉本 郡司 佐藤 生井 嶋田 関根 髙橋亮 津留﨑 石井 森田晃 増居 木澤 福井 若林 橋本昂 梁瀬 橋本典 髙橋佑 下山 植田響 水久保 角谷 西山 鶴岡
元背番号 1 32 3 33 5 37 44 8 9 22 11 ルーキー 13 14 15 16 17 49 ルーキー 20 35 36 27 29 43 34 ルーキー 39 ―― ―― ―― ――
前任者 ―― 長谷川晴 ―― ―― ―― 内田 ―― ―― ―― 河合 ―― 三枝 ―― ―― ―― ―― ―― 菊地 田中裕 ―― 郡司 ―― ―― ―― ―― ―― 正木 ―― 橋本典 大平 ―― 森田晃

❶正木、渡部遼と2年外野陣が一桁に。若林、福井といった2年野手陣は全体的に出世しましたね。植田将、田中凌といった縁の下の力持ち達も一桁番号に。また、森田が"エース番号"18番になりました。

❷「目線」が悪いからかもしれませんが、あまり新戦力という形はないような印象です。西山は隠し玉として非常に楽しみな投手ですね。ルーキーとしては増居、生井に注目。甲子園で投げ合った両左腕揃い踏みも今季中に見れそうです。下山も早いタイミングで出場してくるのではないでしょうか。

総評

スタメンの戦力で言えばリーグ一番でしょう。素質・実績ともに十分の精鋭たちが他チームを迎えうちます。昨秋はコマ不足に悩んだ投手もW髙橋に成長した木澤、左では復活した佐藤とダブルルーキーが控え、1年前と遜色ないどころかむしろ強化されているのではないかと思うほどです。

持てる力を十分に発揮すればチーム目標の達成も難しくないと思いますよ。そしてその先の日本一も。

 

という形で、

6位東大、5位立大、4位法大、3位明大、2位早大、1位慶大

と予想します(明治と早稲田だけOP戦の結果を見て入れ替えました)

早慶戦が楽しみですね!

ということでめんどくさいことは絶対に終わらせようと思います。

ではごきげんよう